独立行政法人国立病院機構 四国こどもとおとなの医療センター

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おひさまつうしん

コラム 臨床研修医が行く!

vol.10 ふるさと・金沢

 こんにちは。初期臨床研修2年目の置村杏奈と申します。今回の研修医だよりでは、私の故郷と故郷に対する思いについて書いてみたいと思います。

 まず私の生活歴(?)について少しお話します。出身は石川県金沢市です。父母も祖父母も生粋の金沢人で、私も高校を卒業するまで旅行以外で県内を出たことはありませんでしたが、高校卒業後大阪で1年間浪人し、その後京都でおよそ4年学生生活を送りました。学生最後の3ヶ月にカナダへ語学留学し、帰国後1年間三重で、次の1年間を京都で院生生活を送りました。京都で院生をしている時に、思うことがあり医学部に入り直そうと決意し、金沢に戻って(というより、いろいろ試験を受けて、金沢で何とか医学部に編入学できたので)4年間再び学生生活をしました。医学部5年生の時にこちらに見学に来、こちらで初期臨床研修したいと思い、縁もゆかりもない香川に昨年から来させていただいております。とは言っても、去年の半分は研修のため、下関市の関門医療センターに行っていたので、ようやく香川で暮らして通算1年になります。

 こんなふうにいろんなところを転々としてきたわけですが、私にはそもそもU字工事のような「地元愛」が欠落している気がします。さらに高校を卒業した頃は金沢が嫌いで、特に小京都と呼ばれながらも、田舎っぽい感性を引きずっているところが嫌いで、両親も私の意志を尊重して、戻ってこなくてもいいよと言ってくれていたこともあり、もう2度と金沢に帰って来るもんかと思い、大阪へ出ました。大阪で寮生活を送りましたが、そこに香川のお隣の徳島県出身の人たちが多くおり、その人たちの徳島の言葉や徳島の文化など、徳島のすべてを愛しているというような様子に非常に驚いたのを今でも覚えています。

 「地元愛」が欠落している私なので、住む土地が変わるごとに、無意識のうちに「ここは私の終の住処となりうるか?」という視点でその土地を分析している気がします。そのような目で転々とそれぞれの土地で過ごして感じたことを、できることならここはこうだった、あそこはこうだったとお伝えするのは楽しそうですが、キリがないのでここではやめにしておきます。ただ結論として思うことに、すべてを無条件に愛せる土地なんてきっとないんだろうなと。どんな土地にもいいところがあり、嫌なところがあり、褒めるべきところあり、改善した方がいいなというところあり。金沢にもいいところがあったと、最近になって金沢を懐かしむようになりました。

 最後に残った紙面の限りを尽くして、私の知る金沢をご紹介したいと思います。金沢は小京都と言われておりますが、それは伝統産業に友禅があったり、和菓子文化であったりというだけでなく、市内を流れる犀川の景観が京都の賀茂川の景観に似ているからだと思われます。長く石川県知事であった京都府出身の中西陽一が、賀茂川に似せて犀川を整備したのだと、小さい頃耳にしたことがあります。

 それから市の中心部に日本三大庭園の1つ、兼六園があります。私の通った小中学校は兼六園の目と鼻の先にあり、春の無料開放の期間によく晴れた日には、突然「今日は4限の○○はお休みにして、兼六園に行きます。」と兼六園で鬼ごっこ・かくれんぼなどをしてからご飯を食べて帰る、なんてこともよくありました。ちなみにその私の母校は私が中学校3年生の時に移転をしたため、今は21世紀美術館という、ちょっと現代美術の特集雑誌などに取り上げられるようなモダンな美術館になっています。さらにちなんで言うと、小学生の頃こっそり個人的なタイムカプセルを校庭に埋めたのですが、その場所は21世紀美術館の入り口の土台になってしまっています。

 中心部は香林坊というところで、大丸の偽物のような(マークもそっくり!調べてみたら開業の経緯で結びつきが強いとか。)大和というデパートがあります。加賀百万石の金沢人気質を反映した殿様商法のデパートです。(というと大和の人に怒られてしまいそうです。)香林坊の隣に片町という、飲み屋やファッションビルが集まるところがあります。京都で言う四条河原町のようなところでしょうか。その香林坊や片町の裏に武家屋敷が並ぶ長町界隈があります。武家屋敷の横を自転車ですり抜けて学校に通っていたので、こうして書いていると懐かしい気持ちになりますが、現在金沢の中心部は観光客向けに整備され過ぎており、私の知る古き良き金沢の風景はもう失われています。 と、観光地について述べてみましたが、最近一番私が懐かしく思い出すのは、通い詰めた金沢のお店の味です。びっくりやの焼肉(牛バラとたれが絶品)、おでんなら若葉、たこ焼きならこぶた(道頓堀のたこ焼きより美味しい)、圓八のあんころ……金沢の郷土料理は治部煮ですが、そんなもの食卓に上がったことなど1度もないし、店で食べても美味しいと思ったことなどありません。町人文化の金沢(だと私は思っているのですが)はふらっと立ち寄れる・買えるものが美味しいのです。

 こんな金沢に興味を持たれる方がおられましたら、ぜひ、一度お越し下さい。

<2011.10>

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