独立行政法人国立病院機構 四国こどもとおとなの医療センター

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おひさまつうしん

コラム 臨床研修医が行く!

vol.16 この気軽さはちょっとない

 こんにちは。初期研修医の井上健司と申します。出身はどちらとよく聞かれるのですが、産まれたのは高松の県立中央病院です。母の実家が近くにあるものですから、いわゆる里帰り出産ですね。 その後、広島→岡山→和歌山→京都→名古屋→北海道と、各地を転々としてきましたが、どこをとっても数年の歴史しかありません。なので、「出身」というのは私にとってはあまり実感がないものです。 産まれはしたものの、四国には住んだことはありませんでした。もちろん何度もじいちゃんばあちゃんの家には遊びに行っていたため、昔は宇高連絡船、今は瀬戸大橋、今実家のある和歌山からはフェリーといろんな方法でアクセスはしており地理にはやたら詳しいのですが、基本的に四国の生活に関しては素人同然です。四国はあくまで「ばあちゃんち」であり、生活の基盤ではありませんでした。

 そんな私が香川小児病院でお世話になることになったのは、ほんとに単なる偶然です。医学部も終盤に近付くと就職先を探さなくてはならないのですが、今はネットでいろいろな情報が手に入ります。近所の病院、ブランド病院など様々ありますが、正直どこの病院も(少なくとも学生の眼からは)似たり寄ったりで決め手に欠けるなぁと思っていたところ、香川「小児」病院という名前が目に入りました。香川ではなく、「小児」です。 当時、将来は小児科医に!などという情熱があったわけではなく、単純に小児病院でどうやって初期研修をするんだろうというしょうもない興味からそのページをたどっていったのですが、それがなかなか熱い。各地を転々としてきたにもかかわらず、そういえば子供だけの病院というのはあまりなかったなぁと思い、見学させていただきました。

 まず目についたのは、建物の「レトロさ」です。いまどきこの規模で2階建ての病院など見たことがありません。しかも古い旅館のように次々に建物を継ぎ足していってできた迷路になっています。2階を歩いていたはずが、気がつけば隣の建物の1階につながっているなんて、ドキドキせざるを得ません。 もうひとつは、「飾り気のなさ」です。全国的には小児専門病院はあまりなく、どの病院も地域の最後の砦であり、受診には紹介状が必要で、敷居は高めで、知名度抜群です。が、香川小児はへたをすると高松市内の人も知らないぐらい、ブランド力はありません。地元善通寺の方も、風邪をひけば小児病院というぐらいかなり気軽にいらっしゃいます。どこにでもある小児病院と思われているお母さんたちも多いかもしれませんが、こんなに気軽に風邪引きさんを見ている小児専門病院は、全国的にもまれです。「どこにでもある小児病院」、実はそんなもの、どこにもないのです。私が医大生時代を過ごした北海道の旭川では半径100kmの範囲に小児科医が週に1度出張診療をするだけという、同じ日本とは思えない光景があたりまえでしたので、この気軽さは衝撃でした。

 ということで4月からお世話になることになった香川小児病院、来年度からは新病院となりますが、現病院がもつこの気軽さは必ず引き継いでいきたいと思っています(レトロはちょっと無理ですが)。将来的にはこんな病院を全国に、という思いを胸に、日々精進して参ります。

 

<2013.01>

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