独立行政法人国立病院機構 四国こどもとおとなの医療センター

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おひさまつうしん

特集 こどもの病気の基礎知識

vol.11 子供の中耳炎ってどんな病気?

中耳炎の中でも子供に多い急性中耳炎と滲出性中耳炎についてどんな病気であるかを書いてみます。

<急性中耳炎>

 急激に寒さが増してくる今日この頃、「子供が耳が痛いといって泣き叫んでいます。」とか「赤ちゃんがいつになくぐずって泣き、耳に手をもっていきます。」という救急受診が増えます。こういう場合は急性中耳炎が疑われます。

 急性中耳炎は幼小児期における代表的な感染症で、3歳までに50-70%の子供が少なくとも一回の急性中耳炎になるといわれています。鼓膜の奥の中耳という所に感染を起こし膿がたまったり鼓膜が赤く腫れたりする状態です。「原因は何ですか?昨日お風呂で水が入ったから中耳炎になったのでしょうか?」とよく聞かれますがこれは間違いです。急性中耳炎のほとんどは耳管と呼ばれる耳と鼻の奥をつなぐ管を通って感染を起こします。中耳の外側は鼓膜で閉鎖されていますが内側は耳管で鼻の奥に通じていて、鼻の奥に感染を起こすと鼻汁のバイキンが耳管から中耳に上がります。だから「急性中耳炎になる少し前から風邪をひいています。」とか「最近ねばい鼻水が続いています。」というお子さんが多いですね。

 急性中耳炎の状態は、ちょっと鼓膜が赤いぐらいの軽症から、鼓膜が真っ赤になって奥に膿がパンパンに貯まり今にも鼓膜が裂けそうになっている重症のものまで様々で、膿が溜まり過ぎて自然に鼓膜が裂け排膿され耳漏が出ることもあります。治療は症状によって、風邪の治療をしたり、重症度によって抗生剤の投与、薬で痛みを抑える、膿が多くたまって鼓膜が腫れるような時には鼓膜に小さな穴を開けて膿を抜く鼓膜切開などを行います。お子さんが夜間急に耳が痛いといった場合には痛みを和らげることが先決で解熱鎮痛剤(熱さましの薬として患児が処方されているアンヒバとかアルピニーといった座薬、もしくはカロナールという内服薬)があれば使用してみてください。軽症ならばこれだけで落ち着くこともあります。その後、翌日でよいのでお近くの耳鼻咽喉科を受診してください。

<滲出性中耳炎>

 もう一つの子供に多い中耳炎は滲出性中耳炎です。風邪に伴って発症したり急性中耳炎が収まった後に引き続いて発症します。急性中耳炎と違って痛みを伴わず中耳に液が貯まる状態で、鼓膜は濁ってみえます。ちょっと耳がつまっている感じとか少し聞こえ難いぐらいで自覚症状に乏しく、特に乳幼児期には「そういえばよく耳を触っている」とか「ちょっと聞き返しが多いかな?」といった様子がみられるぐらいです。1歳半や3歳児検診などで難聴を疑われ耳鼻咽喉科を受診して滲出性中耳炎が見つかることもあります。

 原因には風邪による耳管の炎症や機能低下、アデノイド(鼻の奥にある扁桃腺の仲間)の存在が挙げられます。風邪を引くと耳管自体が腫れたり、腫れたアデノイドに耳管の入り口を圧迫されたりして耳管の機能が低下します。耳管は普段は閉じているけれどつばを飲んだりすると開いて空気が鼻の奥から中耳に送り込まれて中耳の圧を調整しているところです。皆さんも風邪をひいた時に少し耳管の機能が低下して耳抜きがしにくくなり耳がつまったような感じを経験したところがあると思います。大人に比べ子供の耳管は機能が未熟で頭が小さい分長さも短く中耳に炎症が及びやすいので風邪でいったん腫れて機能が低下するとなかなか治らず滲出性中耳炎に至り、治療にも時間がかかります。治療は耳管に空気を送り込む通気処置や、風邪の治療や、鼻炎の治療を行いますが、それでも直らなければ鼓膜切開をして中耳に貯まっている液を抜いたりします。

 最後に、まれではありますが急性中耳炎の合併症として耳の後ろが腫れ上がる乳様突起炎や顔面神経麻痺、髄膜炎を来たすことがありこの場合早期の切開排膿や入院治療が必要になります。また、真珠腫性中耳炎と呼ばれる手術が必要な腫瘍が隠れていることもあります。たかが中耳炎されど中耳炎です。気になる症状があれば耳鼻咽喉科を受診してください。

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