独立行政法人国立病院機構 四国こどもとおとなの医療センター

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おひさまつうしん

特集 こどもの病気の基礎知識

vol.15 ゲノムとは

桜の季節もいつしか終わり、木々の緑が眩しい季節となりました♪。
忙しい手をふと止めて、ちょうど1年前、ここ善通寺の香川小児病院に来た頃を振り返ってみました。

私は、平成20年4月に徳島大学・ゲノム機能研究センターから当院の小児ゲノム医療研究室に赴任いたしました。香川小児病院には、5つの研究室(ラボ)から構成される臨床研究部が設置されています。私の所属するラボは、これらの内の1つに属します。当研究室は、平成20年4月に開設されたばかりの、フレッシュな、かつ、やる気満々の研究室です。子供の病気にかかわる「遺伝子」を対象に、病気が起きる仕組み、遺伝子診断・治療の向上を目的とした研究を行っています。主として内科系の病気を中心に、ゲノム医療研究を強く支える土台づくりを目指しています。

診療部とは独立した研究室として、「胎児から新生児、乳児、小児、思春期を経て成人し、次の世代を育成する」までのライフサイクルに基づき、患者さんおよびそのご家族のための総合的医療(成育医療)の発展に寄与するため、遺伝子の解析を行っています。当然のことですが、これらの研究は、インフォームドコンセントに基づき、倫理的・科学的観点から適正に行われるように、また個人情報の保護に努めています。

赴任後、小児期発症の1型糖尿病や小児神経疾患を中心に、発症にかかわると考えられる複数の遺伝子を解析し、病気が起きる仕組みを研究してきました。ラボの中は、ゲノムの情報を読みとる3130シークエンサーや1つ1つの遺伝子の発現量を解析する7300装置をはじめ、PCR装置、DNAやRNAの量を測定する装置など、最新の機器に囲まれています。これらの機器は、放熱量が多いので、夏場はクーラーが欠かせません。

“ゲノム”って難しそうだけど、何のこと?と思われるかもしれませんが、結構身近な話です。皆さん、「お母さんゆずりね」とか「やっぱり遺伝ね」と言われたことがありませんか?

皆さんは、いろんな特徴を親から受け継いでいます。そういう遺伝の情報全体を“ゲノム”といい、これらは、皆さんの細胞の中にあります。

“ゲノム”を1つの「かばん」だと想像してみて下さい。
親から子供に伝えられる遺伝情報が入った「かばん」の中に、23組の設計図(染色体)が入っているのです。この設計図が、血液型、目の色、皮膚の色、さらには、お酒に強いか弱いかなどを決めているのです。遺伝で病気になる場合もあります。そこで、暗号の文字(A, G, C, T)の並んだ設計図を解読し、その意味を知ることができたら、糖尿病とかいろいろな病気が起こる仕組みがわかると考えられます。そうしたら、新しい薬もつくれます。

そこに行きつくのは、まだ先のことです。が、地道な作業を毎日行い、病気が起きる仕組みを少しでも解明できたらいいな、と考えています。診療の場で見出だされたテーマを、少しでも科学的に解決できるように、小さいながら研究の礎石を積み上げていきたいと思います。

皆様のご協力、ご支援を宜しくお願いいたします。

(研究室室長 森谷眞紀)

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