独立行政法人国立病院機構 四国こどもとおとなの医療センター

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おひさまつうしん

特集 おとなの病気の基礎知識

vol.06 更年期障害について



1… 卵巣の活動性が低下し、月経が永久に停止することを閉経といいます。月経が停止した時点で閉経を診断することは難しいため、12ヵ月以上の無月経を確認することで閉経と判断しています。日本女性の閉経年齢は平均49.5歳、中央値で50.5歳、最近の報告では中央値52歳とされています。更年期は閉経前後5年間のtotal 10年間の期間になり、一般的には45~55歳までをさします。

2… 更年期には様々な症状が伴います。その中でも、ほてり・発汗・冷え・肩こり・頭痛・不眠などの症状が出やすい傾向にあり、これらを更年期症状といいます。その症状が原因で日常生活に支障をきたすほど辛く、治療を要する状態が更年期障害になります。



3… 更年期障害の大きな要因のひとつはエストロゲンが低下することですが、環境因子や性格など全体的バランスの変化が原因となっており、エストロゲンの低下が大きく占める人もいれば、環境要因が大きい人もいます。
 更年期は誰しも訪れる時期ですが、症状の感じ方は様々であり、頻度としては3人に1人が症状なし、1人が症状あっても自制内、1人が要治療となります。

4… 女性ホルモンは卵巣から分泌されており、「卵胞ホルモン(エストロゲン)」と「黄体ホルモン(プロゲステロン)」の2種類があります。エストロゲンは乳房の発達や髪や肌の潤いを保ったり、骨や血管を守ってくれています。プロゲステロンはエストロゲンにより厚くなった子宮内膜の維持や体温の上昇に関与します。卵巣から分泌されるホルモンは脳からの指令を受けています。視床下部から分泌される性腺刺激放出ホルモン、その刺激を受けて脳下垂体から卵胞刺激ホルモンと黄体形成ホルモンが分泌されます。これらのホルモンが卵巣を刺激し、エストロゲンやプロゲステロンが分泌されます。女性ホルモンのバランスが崩れると、脳と卵巣との連携が乱れ、自律神経系にも影響をきたし更年期症状が発現します。
 更年期症状が出たときに注意をしておかないといけないことがあります。更年期に入り体調のすぐれない日が続いた場合に、「更年期のせい」にしてしまいがちですが、類似した症状のある病気、例えば甲状腺機能低下症、子宮がん、関節リウマチ、うつ病、メニエル病などの病気でないかということもきちんと確認する必要があります。



5… 更年期症状に対してはどのような治療が効果的かといえば、ホルモン補充療法(HRT)と漢方薬による治療が中心です。ホルモン補充療法は、更年期症状のなかでも特にのぼせや発汗に対して非常に効果があります。また骨粗しょう症の予防や治療、コラーゲンの増加や皮膚の厚みが増えるなどアンチエイジングにも効果的です。

6… ホルモン補充療法を継続するにあたり、注意しておきたい副作用が大きく3つあります。
 1つめは、治療始めた頃に起きやすいのが「出血」です。出血の症状が出た場合には、子宮体がんでないかどうか検診を行うことが大切です。検診にて異常なければホルモン補充療法継続可能であり、継続することにより出血の頻度は下がっていきます。また閉経期にはエストロゲンに加えて黄体ホルモンを併用することにより子宮体癌のリスクをホルモン補充していない状態と同等にすることができます。
 2つめは、「乳がんのリスク」です。長期間ホルモン補充療法を継続すれば乳がんのリスクが年間1万人あたり8人増加すると言われていますが、5年以内の治療期間ではホルモン補充療法を行っていない人と同等です。乳がんは女性が最も罹患しやすい癌です。定期的な乳がん検診が大切です。
 3つめは、「静脈血栓症のリスク」です。静脈血栓症は下肢の静脈などに血の塊ができてしまう疾患です。できた血栓が血流に乗って肺動脈をつまらせてしまうと、肺血栓塞栓症を引き起こしてしまいます。エストロゲンは血をかたまり易くする方向に働くためリスクが高くなります。治療していない場合、年間10万人あたり5人の発症頻度から、年間10万人あたり10-15人の発症頻度になる程度です。まれではありますが発症すると怖い疾患です。特に治療始めた1年以内に起こりやすいと言われています。ふくらはぎの痛みや腫れ、熱感、発赤などあれば病院へ連絡してください。


7… 現代の日本人女性の平均寿命は約86歳と世界トップクラスの長寿国です。先進国で最近誕生した新生児の半数は100歳まで生きるといわれていますが、一方で閉経年齢はさほどかわらず、約50歳といわれています。つまり日本人女性では人生の約1/3の期間が閉経後と考えられます。
 更年期は体調にも変化がおきはじめるチェックポイントです。まずは今の健康状態を把握し、食生活や運動を心掛け、健康で長生きするためにこの時期から予防することが大切です。

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